今日は授業の予備知識として、子どもが成長に伴い知っておいてほしいことがらである日本の文化の一部である「ならわし」について陰陽五行説にふれながら紹介します。日本の伝統的な考え方では、世界は陰陽五行(いんようごぎょう)という概念があることを知っていると日常の生活でも興味深くなります。
1.陰陽とは?
まず、陰陽とは、相反する二つの要素を表します。例えば、太陽と月、明と暗、男性と女性などがそれに当たります。陰陽は相互に補完しあい、バランスを保つことが重要という考えです。
2.五行とは?
次に、五行とは、木、火、土、金、水という五つの基本的な要素を指します。これらの要素は相互に影響し合い、変化し合います。木は火を生み、火は土を生み、土は金を生み、金は水を生み、水は木を生みます。この連鎖は「生気の相関」と呼ばれます。「日・月」がないなと思いますが、先の陰陽で月と日(太陽)はそもそも前提にあると考えれば納得がいくと思います。
「ならわし」では、陰陽五行の考え方がさまざまな場面で応用されます。例えば、建築や風水、料理、芸術など、さまざまな分野でその影響が見られます。また、陰陽五行は人間の健康や行動にも関連しており、バランスのとれた生活を送るために重要です。
具体的な授業でのやりとりとしてよく使っている代表的な問いかけを三つ紹介します。
和食のときに、ご飯は左、みそ汁は右におくのはどうしてか?
右利きが多いので左側に茶碗を手に取りやすいように置く利便性はあると思います。しかし、陰陽説では左が陽で尊い、右が陰で卑しいとバランスをとります。お米は当時の人にとって貴重な主食でしたので左に置くのですね。逆に置くことを「夷膳」(えびすぜん)といい、失礼にあたります。
結婚式のお祝い金でお札を奇数でつつむのはどうしてか?
偶数だと割れる=別れるという縁起をかついだものと言われていますが、なるほど、陰陽五行説でみてみると、陽の数が奇数、陰の数は偶数です。新郎新婦に末永く幸せになってほしいという意味合いが込められています。ちなみに包む水引も奇数です。(これは意外と知られていないかもしれないですね。)
神社の獅子や狛犬は左右一対なのはどうしてか?
神社によって獅子だったり、犬だったり、狐だったり、狼だったり、猿だったりしますが、左右一対であることには変わりありません。近くの神社を見かけたらどれだかを探してみましょう。これは魔除けとして有名ですね。よく見ると「あ」と口を開いています。反対側が「うん」と口を閉じています。阿吽(あうん)の呼吸でバランスが取れているわけです。陰陽ってすごいですね。「あ」が始まり、陽、雄を示し、「うん」が終わり、陰、雌を表します。どっちがどっちだかわからない場合は、まずは入り口から本殿をみるようにして獅子や狛犬を見ましょう。品電に向かって右側が雄(陽)左側が雌(陰)です。
あれっ?さっきのご飯は左の説と矛盾するのでは???
しっかりと理解できていますね。ですが、矛盾はしません。入口から本殿を見ているので、今度は本殿から入り口を見ましょう。本殿すなわち神様から獅子や狛犬を見たら、右側が雄(陽)左側が雌とになります。
3.中学入試において、陰陽五行を知るメリット
陰陽五行説自体が入試にでることはありませんが、知識を増やしたり、興味を深く持つことについて、将来的に以下の役にたつと考えています。
歴史や文化の理解: 陰陽五行は日本の伝統文化や思想の一部であり、これを理解することで日本の文化や歴史に対する理解が深まります。入試で出題される文化や歴史に関する問題において、陰陽五行を知っていることは有利になります。
問題解決能力: 陰陽五行の考え方は、バランスや相関関係に基づいています。この考え方を身につけることで、問題解決能力や論理的思考力が向上します。入試の問題解答や論述問題において、論理的かつ体系的なアプローチが求められる場面で役立ちます。
自己管理: 陰陽五行はバランスの重要性を強調しています。生徒が自分の生活や学習においてバランスを取ることを学ぶ手助けとなります。健康やストレス管理、時間管理など、自己管理能力の向上に役立ちます。
知識の幅が広がる: 陰陽五行は日本のみならず、東アジアの広範囲で影響を与えてきた思想です。この知識を持つことで、東アジアの文化や歴史についても理解が深まります。入試や将来の学習において、幅広い知識が求められる場面で役立ちます。
陰陽五行説という考え方があることだけ押さえておけば、問題はありません。身近なことがらとして、干支や方角、節句等の行事、相撲など出会うことは多くあります。
まとめ
日本の「ならわし」についての簡単な紹介でしたが、陰陽五行の概念は日本の伝統文化に深く根付いており、どこかで深く学ぶ機会があると幸いです。家族の話題として生活にちなむことがあったら触れてみてください。
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