一気に読書をする、一冊夢中になって読書をするというチャレンジの紹介です。短い内容、長い内容問わず読み切ることで「読了」の経験を積むことをお勧めします。土日、GW等家族のイベントとしてやってみてはどうでしょうか。今回はお勧め本とともに、物語・小説を情報処理として読み解く練習のポイントを挙げます。
1.世代問わず読まれている文章
「トロッコ」「蜜柑」芥川龍之介
前者は読んだことがある子どもも多いですが、時代背景を理解し、小学5年生までにはもう1回読むと見方も変わることがよくあります。主人公と脇役の役割を意識して読めることから、主人公の視点で書かれているためとても読みやすいです。後者は汽車と電車の違い、「蜜柑」が投げられる経緯をとらえられるかを私からよく質問します。両者ともに情景描写はゆっくり読むことを勧めています。実際にテストや入試問題で解く場合は何が重要かを読みながら緩急をつけて読んでいくことができるようになるからです。感受移入はあってもなくても、別の問題として情報処理をすることです。
芥川龍之介の作品は杜子春・蜘蛛の糸・羅生門等、古典をわかりやすく広めたものや、トロッコ、蜜柑等自分で書いた作品があります。単純に作品名と作家という区別以外ができると他の作家の作品についてもより興味を持つことができるようになります。(意外とこういうことを学ぶ機会は少ないです。)
2.読みやすい文章
芥川龍之介が読みにくい場合は以下の2作品をお勧めします。過去に中学入試でも出題されています。
「温室デイズ」瀬尾まいこ
場面ごとに①出来事②主人公の言動③主人公の心情について読み取りやすい内容です。時間の変化がわかりやすい作品ですあることから、特に②③について線を引きながら読む練習としても重宝します。いじめの問題も提起されているので自分事として感情移入する子どもも多いです。個人的には作者は大人にも子どもにも読んで考えてほしい内容として書かれた作品であると考えています。そのため、問題作成者としても設問をつくるときに学校のメッセージも出せる作品だと感じます。
一房の葡萄 有島武郎
「ひとふさのぶどう」、「ありしまたけお」まずは作品名徒作者名をちゃんと読めるか。一房は助数詞(物の数え方)なので知識の幅も広がるでしょう。中学・高校と学齢が進むと作者について詳しく学ぶ機会もあると思いますが、昔の小説として現代のこどもにも比較的読みやすい話です。①出来事②主人公の言動③主人公の心情をとらえ、特に「絵の具」、「一房の葡萄」が重要な「アイテム」だということ。そして、絵の具から一房の葡萄にいきつくまでの主人公の性格の変化が読み取れるかどうかを問われます。これを主人公の「成長」と考えることができますのでテスト問題としても出題されやすいです。
日本語が第二言語の子どもの場合は、芥川龍之介の「蜜柑」を読むことをお勧めしています。2・3回読むと理解力が増します。蜜柑の役割について議論することも楽しいです。
物語・小説は、読了しても、受験勉強においては説明文と違い、なかなか効果があがりにくいという意見も過去に頂きました。文章をある程度情報としてインプットすることができているかどうかで設問の問いに答えられるかどうかが決まります。スポーツに例えると説明文は手を使う野球、物語・小説は足を使うサッカーというような感じで同じボールでも扱い方=情報の読み方が異なるだけで、論理的に何が書いてあるかをまずは知ることです。感情移入しても、情報整理と結びつけば、問題作成者の問いにも答えられやすくなります。
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