受験勉強として「知識を強化する」ことが日本の教育のよいところだと思います。もう一歩踏み込んで、子どもも大人も学ぶ側が知識を得ながら「価値観」を構築し、社会の一員として生きていくということが、就職活動や研究職に進むという「進路」という言葉で過ぎ去っているような感じがします。子どもの「なぜ」を議論することで語彙力や論理的思考力をつけ、教養を身につける一助になれば幸いです。
There is no single answer! Interactive Problem Solving。
日本の教養において、「価値観」という言葉はちょっと難しい言葉だなと感じることがあります。就職活動の時に学生や転職検討者が自分自身のの棚卸しに外部のセミナーやコンサルタントに依頼し、「自分の価値観探し」をすることがあります。私も過去に教えた子どもから進路の相談や面接のアドバイスを求められることがありますが、どういうことを話すかよりも、「自分の価値観」とその会社の「企業理念」、働く先輩や仲間と一緒に「がんばれそうか」と自分で考えられるかに焦点を置くように言葉を添えます。
1.なぜ、その業界なのか
2.なぜ、その会社なのか
3.なぜ、自分なのか
自分の言葉できちんと説明し、相手にアピールするように勇気づけて送り出します。自己アピールとして学級委員や推薦入試、就職面接等にも役に立つ思考法だと思います。ただし、自分の背景にある「答えのない問題を話し合うこと」の経験があるとなしとでは話が薄っぺらくなると考えます。
答えのない問題を話し合うこと
私たちは、例えば、拳銃のない世界で日常生活を営んでいます。ある意味、安定的な国際秩序や民主的な価値や規範の中で、以下の問いはどのように取り入れるか。答えが非常に出にくいです。
トランスジェンダーの女性をどこまで女性として扱うか
我が子に問いてみてください。兄弟で議論させてもいいですり、親子で簡単な意見交換でもよいと思います。
・肉体的には男性
・心は女性
・服装は女性
・公共施設は女性側からみるとトラブルが起きるといけないので男性?
・トイレは女性でいいかもしれないけれどもお風呂はどう?
・スポーツ大会はどちらで参加?
・医者にかかるには?
トランスジェンダーの女性だけを考えることだけでなく、ステークホルダー(周囲の関係者)、男性・女性双方の立場、世代、健康状態等想定できる切り口はたくさんあります。ひとつずつ議論し、摩擦や衝突を解消していく必要があると考えられますね。
答えのない問題を話し合ったら
安定的な国際秩序や民主的な価値や規範の中でと先ほど書きましたが、民主的な社会を構築し、存続させるためには自ら考え、ある部分では賛否含め、行動する人になると思います。子どもが現時点で将来、どんなことに興味をもつかを考えるきっかけになるでしょう。
日本の大学ではリベラルアーツ学部が近年、創設されて久しいです。学生に「どんなことを学んでいるの」と聞くと「何でも学べ、そこから好きなものを専門にできる。」という答えがかえってきます。リベラルアーツという考え方の基本は「自由7科」として基礎的な学芸として「文法学」「論理学」「修辞学」を含んだ3学と、「算術」「幾何学」「音楽」「天文学」から成る4科からなります。(個人的には、3学の文法学が日本では「国語」として薄いなと思います。中学受験では算数・理科に重きを置くことと、プロセスの訓練が時代に合っていたから今にいたるのかと思っています。)時代とともに学問は派生し、専門化されているので、人類学、経済学(経営学)、社会学、心理学、政治学、統計学、歴史学、会計学、法学、文学、理学、工学、医学等の知識から教養を身に着け、考え続ける姿勢がある子どもは勉強ができる子どもが多いなと思います。近い将来「AI学」等が独立して系統立てられるかもしれません。
私の場合はすべての「なぜ?」のもとを「哲学」といい、〇〇学という専門の学問に昇華されて、現在も続いているので、「興味があるものを学ぶといい」と私が出会った子どもたちには伝えています。
「答えのない問題を話し合うこと」のお題
1.動物園や水族館の存在意義
「動物を保護するために存在する施設だ、展示することが動物を自由に奪っているのではないか?」
生物多様性の保護と動物の権利、教育効果と倫理的な側面が交差する問題です。
2. AI(人工知能)が人間の仕事を奪う問題
「AIが進化する中で、どこまで人間の仕事をAIに任せるべきか」
効率の向上と、AIの倫理や人間らしさの定義など、テクノロジーと社会の未来についての議論です。
3.死刑制度の存廃
「重大な犯罪に対して死刑は適切な罰なのか、早急に廃止すべきである」
犯罪者のさらなる可能性、被害者の権利、そして生命の観点に対する考え方が異なる問題です。
これらは子どもたちに考える力を養うために良い問題で、否賛両論の意見を持つことができる問題です。(口頭試問面接でも出題されたら自分なりに考えられるでしょう。)ちょっとした時間に、議論してみることをお勧めします。
「対比」や、「因果」、「並列」等の表現を用いて自分の考えを伝える訓練になります。語彙力が豊富であればあるほど、論理的思考力をもって話し合えます。ただし、論破は不要です。相手の意見を整理し、認めたあとの落としどころの一つが「論破」だと考えているからです。
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