「自分のことばで説明する力を養う」ことは、中学受験において非常に重要です。自分の考えを明確にし、相手に伝えるスキルは、勉強だけでなく将来の様々な場面でもたいへん役に立ちます。この能力を効果的に伸ばすためには、いつ、どこでどのように練習するかがポイントです。Practice explaining things in your own words.
文章読解の設問で、「これはどういうことか説明しなさい」という問題が出てくることがあります。これは、得点差が開きやすい問題です。「後回し」「書かない」という選択をする子も多くいます。文章中にヒントが書かれていますが、普段から説明する習慣ができていればある程度の得点をとることはできます。
日常生活の中で練習するタイミング
自分のことばで説明する練習は、特別な時間を設けるだけでなく、日常生活の中で自然に行うことが大切です。
例えば、学校から帰ってきた子どもに「今日は学校で何を学んだの?」と尋ねることで、学んだ内容を自分の言葉で整理し、説明する機会を与えます。
また、家族での食事中やお風呂の時間など、リラックスした環境で子どもにその日の出来事や感じたことを話させるのも効果的です。
日常の中で自然に話す習慣をつけることで、子どもは自分の考えをまとめる力や伝える力を少しずつ身につけることができます。
一例ですが私が新聞を読んでいて思いついた問題です。
地球1周は、ほぼ4万キロ。つまり私たちは、どんなに遠い国の人々とも、約2万キロ以上離れて生きることは出来ない。その思いの深さを胸に刻みたい。
引用元 朝日新聞「天声人語」2024.7.28より抜粋
問題
どんなに遠い国の人々とも、約2万キロ以上離れて生きることは出来ない。
これはどういうことか答えなさい。
頭ではわかっていても、実際に説明するとなるとハッとする場合が多いです。
慣れの問題ですが、文章の前後を探してくっつけるだけの解き方では通用しないということです。
答え
地球は丸いので、どこに行っても一番遠い場所でも約2万キロしか離れていないということ。(42文字。)
※難関中学向けに「因果関係」を用いて解答を作りました。 日常会話として似ていればいいと思います。
解説(家族の会話)
地球は丸い形をしているよね。
地球の周りを一周すると、だいたい4万キロメートルと書いてあるね。
でも、地球は丸いから、どんなに遠い国の人とでも、正反対に行っても2万キロくらいしか離れていないんだよ。
だから、世界のどこに住んでいても、約2万キロ以上は遠く離れて暮らせないんだってことなんだ。
この時に、子どもの情報処理が4万キロと2万キロをどう解釈したか。
・文字を文字で認識して処理する方法
・地球儀と赤道(そうでなくてもよいです)をイメージして1周4万キロと半周2万キロで比べる方法
・北極と南極をイメージして線を引いて2万キロを認識する方法
などがあります。
思考する→自分のことばにする→書くという型(流れ)の中で、自然と論理的な思考力が身につけられると「説明しなさい」という問題には抵抗感がなくなってきます。
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効果的な学習環境を作る
自分のことばで説明する力を伸ばすためには、適切な環境を整えることが重要です。
場所
まず、静かで集中できる場所を確保しましょう。
リビングルームやダイニングテーブルの一角や、子ども部屋など、家の中で落ち着いて話せるスペースを作ることが理想的です。
聞き手の態度
また、話しやすい雰囲気を作るために、子どもが安心して話せるように親が積極的に耳を傾ける姿勢を見せることが大切です。
さらに、家族全員で参加できるディスカッションの時間を設けることで、子どもは様々な視点から物事を考える力を養うことができます。
親が率先して意見を述べ、子どもに質問を投げかけることで、自然とコミュニケーション能力が向上します。
具体的な練習方法や行動
自分のことばで説明する力を効果的に養うためには、具体的な練習方法や行動を取り入れることが有効です。
例えば、新聞記事や、読書等で質問をしてみる。または、週末に家族でプレゼンテーションの時間を設け、子どもに自分の興味のあるテーマについて発表させるのも良いでしょう。
家族であるいはきょうだいで議論をするのもいいです。
また、新聞記事や読書後に内容をまとめて家族に説明する行動(アクティビティ)もおすすめです。
この際、要点を押さえて簡潔に説明することを意識させると、論理的な思考力も育まれます。
さらに、日常の出来事を日記に書かせ、それを音読することで、表現力や記憶力の向上にも繋がります。
ゲーム感覚で取り組めるクイズ形式の質疑応答や、ロールプレイングを取り入れた会話の練習も楽しく学べる方法です。
子どもが成長するにつれて、自然と日常会話になっていれば、練習の必要は減ってきます。
このように、日常生活の中で無理なく練習を取り入れ、適切な環境と具体的な行動(アクティビティ)を用いることで、子どもは自分のことばで説明する力を自然に伸ばすことができます。親がサポートしながら進めることで、子どもは安心して練習に取り組むことができ、自己表現の力を着実に育んでいくことができるでしょう。
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