模擬試験の偏差値は現代の受験勉強の指標として学習に大きく役立ちます。ただ、偏差値が独り歩きし、自分の位置づけを知り、バランスの取れた学習に役立てたり、得点がとれなかった分野の再発見に役立てる暇もなく、次の模試が来るというような時間の制約がままあります。模試結果に一喜一憂する前に、日々の学習をテストで再現性を高められるようにするにはどうしたらいいでしょうか。
偏差値20アップの曲解
偏差値50→70になる難易度と偏差値30→50になる難易度は大きく異なります。
偏差値が低いほど、数値的なアップはしやすいので単純に「偏差値があがったと」いう表現は主観であり、起点の数値をもとに表現しないと独り歩きしてしまいます。
偏差値で表される模試の母集団、教科別平均点にもよりますが、初めて受ける模試の結果と、その後の模試は同じ模試であること。偏差値のアップダウンを教科別に比較してどのくらいアップしたか認識することが最初の一歩です。模試の帳票が帰ってきて、第三者からの結果のフィードバックを受けることができれば、模試の分析と今後の対策を聞いてみましょう。
国語の模試対策のポイント
国語の場合は、説明的文章、文学的文章、語句、文法に内容が分けられます。
確実に地道な努力が結果として現れ、自信もつき、文章読解にも役立つ漢字・知識について、どのように仕上げると再現性があがるのかについて考えてみましょう。ここをおろそかにする場合は国語の成績の向上は見込めません。息を吸うような感覚で再現できる努力と継続力が大切です。受験勉強の積み重ねによって、論理的思考力は格段に向上します。
塾の総合テストで範囲が決まっている語句や文法の場合
訓練によって正答率は上げられます。
・試験日までに、反復練習の時間をつくること。
・授業や宿題としてひととおり〇つけ直しまでやってあること。
これらが前提ですが、テスト前日や直前には書かずに間違えた直しのあとを「声に出して読む」ことをお勧めします。
※子どもの認知の得意パターンによって「黙読する」だけというのも場合によっては効果的です。
時間に余裕があれば、自問自答しながら解いたり読んだりするのがよいですが、4教科での受験勉強で学習する時間も満足にとれず、再現性が向上する見込みがつきにくい場合は第三者やプロに相談しましょう。中学受験までの時間は「有限」です。
◆一般の中学受験用の模擬試験を受験する場合
中学受験塾のオープンテスト(全国統一小学生テスト、各塾の公開テスト)や、模試会社運営の模擬試験(首都圏統一模試)が該当します。
ポイントは漢字や知識の問題集を一冊仕上げることです。
①小学漢字は1026文字は必須。小6の1学期までには終わらせておきたいです。(都道府県名は小4までに覚えきる)
②知識においては塾の総復習の問題集、市販のものであれば語彙や文法の問題集を1冊ずつ。
大まかな手順は以下の2とおりを目安にしてください。
・問題集を「2周」する場合
ひととおりまず最後まで解く。直しは赤、もしくは青で書く。
2回目は色だけ問題とセットで読む。
・問題集を3周する場合
ひととおりまず最後まで解く。直しは青で書く。
2回目は直しの問題を解く。さらに赤で書く。
3回目は赤のみを声に出して読む、もしくは読む。
※私が直接指導する場合は、子どもによってやり方をカスタマイズしてアドバイスします。
国語だけでなく、他の教科の学習時間もあるため、地道にコツコツできる子ならば3周、そうでなければ2周することをお勧めします。ただし、解きなおしや確認を子どものみでできるか、親がみるか、第三者がみるかによって効果は変わります。国語が苦手な子どもほど、自分で訓練し、正答率を上げるのは難しいものです。まずは、ひととおり1冊解き終えるところまでは全力で応援しましょう。具体的な学習方法のアドバイスが求められない環境ならば、子どもに任せずにある程度子どもが自分で組み立てられるまでは手順をつくる「手伝い」をしてあげましょう。低学年の場合はすべて親が段取り、準備、確認をしてもよいですが、学年が進むと、子どもが完全に受け身になり、量や難易度もアップしていきますので、親が離れた瞬間から学習難民になります。中学校入学後も前向きに頑張れるからこその家庭学習です。
市販の問題集のオススメ
A4判で直接書きこみができるものをお勧めします。ただし、よかれと思って与えすぎて「問題集コレクター」にはならないように注意願います。問題が多く残るだけであるだけでストレスを増やします。問題集をいろいろ持っているという子どもはやっていればよいですが、やっていなければ問題を持っているだけである意味不幸です。
塾や家庭教師などで使っている教材がある場合はそれを基本としましょう。(一冊は家庭で「お守り」として購入するくらいがよいです。)
問題集は書き込み?ノートに書く?
問題集に書き込むかノートに書くかのはどちらがいいかは決まりはありません。
ただし
・我が子がノートを見直す機会が少ない、みようとしない
・機会はあってもノートを探すことでもたもたしてしまう
なんだかんだと自力での見直しは難しいならば、ノートは使わずに問題集に直接書き込むことを私はお勧めしています。これは、復習しようと思って準備してから、取り掛かる所要時間が省略できるからです。
アドバイスとして私の造語ですが、「間接時間の省略」といいます。仮に、家庭学習において、60分中10分が省略できれば1か月で約1800分。30時間あれば他に振り当てられるでしょう。その分は読書の時間をお勧めします。ノートをつかうかどうかは「戦略」ではなく「戦術」です。向き不向きがありますが、一例として直したものをスマートフォンやタブレッドで撮影し、画像で持ち歩き、テスト直前にもう1回見たら捨てるという子どももいます。
偏差値は学習の目安ですので、学習成果があがる訓練ができているかを、具体的に習慣化する必要があります。次の目標偏差値は〇〇だね。ということだけでは中学受験での成績向上では氷山の上の部分しか見ていません。水中のより体積の大きな部分=学び、理解し、再現する努力を限られた時間でどのように行うか。できれば楽しみながら受験勉強を過ごしていただければ幸いです。
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