昔の小説や詩歌などの状況把握

昔の小説や詩歌などの状況把握

詩歌や昔の小説は、時代背景や情景を通じて学びを深める絶好の素材です。「あめふり」「ふるさと」「夕焼け小焼けの赤とんぼ」といった詩を題材に、情景理解力を向上させるクイズをご紹介します。子どもたちが時代や文化を追体験しつつ、語彙や感受性を育むきっかけになる内容です。親子で楽しみながら学ぶコミュニケーションを大切にするヒントとしてお役立ていただければ幸いです。また、国語の先生は導入や余談に使っていただければとも思います。!Understanding the context of old novels and poetry.

詩歌は、子どもたちの情景把握力や想像力を鍛える素晴らしい教材です。今回は以下の3つの詩を題材に、クイズ形式で解釈を深めるポイントを解説します。

目次

【問題1】以下の詩を読んで次の問いに答えましょう。

あめあめ ふれふれ かあさんが
じゃのめで おむかえ うれしいな
ピッチピッチ チャップチャップ
ランランラン

あめふり より引用

この「ジャノメ」とは何か。次の中から選びなさい。
(1)蛇
(2)車
(3)傘

【答え】(3)

思い込みはないか、情景把握の理解不足はないかがわかります。

「じゃのめ」は、漢字で書くと「蛇の目」。これは「蛇の目傘」という女性向けの傘を表し、開くとヘビの目のような丸い模様がぐるりと一周しているのが特徴です。幼い主人公は母の「蛇の目傘」をいち早く見つけて「あ、お母さんが来た!」とワクワクしている情景が思い浮かべられるといいですね。作詞を手がけたのは詩人の北原白秋です。

授業中の先生の余談が無駄話か、息抜きか、ためになる話があるのか子どもに聞いてみましょう。準備する先生にもよりますが、こんな話で導入や余談がされているといい先生に出あっていると思います。ヘビの目のような丸い模様がぐるりと一周している傘の特徴を知ると、幼い主人公が母を喜んで迎える情景が浮かび上がります。北原白秋の描く詩から、当時の家庭の温かさと生活文化を学べます。→和傘屋辻倉オンラインショップをみるとよりイメージがしやすいです。現在では和傘は高級品だということもわかります。

【問題2】

兎(うさぎ)追ひし彼かの山
小鮒(こぶな)釣りし彼かの川
夢は今もめぐりて
忘れがたき故郷

ふるさと より引用

うさぎおいし かの山
こぶなつりし かの川

この「おいし」の意味を聞いてみましょう。

子どもにクイズとして出して確認してみてください。思い込みはないか、情景把握の理解不足はないかがわかります。​たいていの間違いは「追った」ということを理解していますが、「うさぎはおいしい」と勘違いする場合もあります。「し」は昔の言葉で「た」と訳すことも理解すると、今後中学入学後の古文にも役立ちます。そもそも野ウサギに出会うことは現在ではひじょうに難しいですね。イタチに出会えればラッキーだと思います。

体言止め(名詞止め)が使われているので以下のようにで解釈するとよいでしょう。

うさぎを追いかけた あの山よ
こぶなを釣った あの川よ
夢のように今も 思い巡る
忘れられない ふるさとよ

という具合に大人が子どもの時に育った故郷を思い出すイメージにつながります。スマートフォンがない時代を理解するのも理解しがたい昨今。昔の小説で土間、土蔵などの言葉にも出会った時につながってきます。故郷を懐かしむ作者の思いに触れられることがポイントです。

【問題3】

夕焼け小焼けの赤とんぼ ​おわれて​みたのはいつの日か
山の畑の桑の実を 小かごに摘んだはまぼろしか
十五で姐(ねえ)やは嫁にいき お里の便りも絶えはてた
夕焼け小焼けの赤とんぼ とまっているよ竿の先​

あかとんぼ より引用

この「おわれて」を子どもに漢字にしてみましょう。

思い込みはないか、情景把握の理解不足はないかがわかります。たいていの間違いは「追われて」と書いてしまいます。これでは、トンボが人を襲う攻撃的な肉食獣になってしまいますね。

正解は「負われて」

背負われてという意味です。おんぶをされて、赤とんぼを見たのはいつの日だったかな?というようなイメージをさせると、2番、3番の詩の理解も進みます。幼少の頃、姐やに背負われて、姐やの背中越しにみた風景を思い出して書いた詞です。

歴史を学んだお子さんはこの歌詞は1937年に発行されたので、日中戦争がはじまった時代です。1925年にラジオ放送が始まりましたので、当時のメディアは新聞・ラジオが主流です。大正10年に発表・作曲は山田耕作)、詞の内容は作詞家露風自身の幼少時代の実体験を素に書いたものと紹介されるとより理解が深まると思います。

まとめ

詩歌や昔の小説は、情景理解や時代背景を学ぶ貴重な素材です。今回は「あめふり」「ふるさと」「夕焼け小焼けの赤とんぼ」を題材に、情景把握力を向上させるクイズを提案しました。これらの問題を通じて、文化的理解や語彙の強化、そして親子での楽しい学びの時間ができれば幸いです。

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