開成中学校は東京都の男子校最難関中の一つです。首都圏だけでなく、全国から男子の最高峰として多くの受験生が集まってきます。50分で大問2題。全11問の構成。大問1は小説、大問2は随筆文。記述問題は7題。全問書き切り、倍率を乗り越えるヒントになれば幸いです。
Consideration of the 2025 Kaisei Junior High School Japanese Language Exam Questions.
2025年开成中学校国语试问题的考察
■実質倍率は2.7倍
試験について入試データ→入試状況・結果
開成中学校の2025年実質倍率は2.7倍でした。
国語の受験者平均点は40.4点、合格者平均点は20.1点。最高点が80点。記述問題はの最高レベルの問題です。
教育理念
一つ目が「開物成務」
これは、中国の古典『易経』にある言葉で、「人間性を開拓、啓発し、人としての務めを成す」という意味です。
二つ目が「ペンは剣よりも強し」
これは、19世紀のイギリスの作家・政治家のE.B.リットンの言葉です。「開物成務」と並んで、開成を表すものとして、校章にもなっています。
三つ目が「質実剛健」
第九代校長の片山正夫先生の示した校訓三則(1939)の中にある言葉です。戦後、校訓三則は廃止されますが、「質実剛健」という言葉は、開成学園の柱の一つとして受け継がれてきました。
四つ目が「自由」
今までの三つの言葉のように、出典があるものではありません。長い歴史の中で、開成学園に関わる生徒・教職員が、大切に育ててきた開成学園の財産です。
開成中学校・高等学校HPより引用
そのすべてを育んだものは、学園設立時の精神、「共立」という考え方です。共に立て、共に育てていく学園として、開成に携わるものすべてが、時代と向き合い、常に問い続け、模索し、作り上げていくとあります。
■大問1:小説 「百年の子」 古内一絵著
小説「百年の子」古内 一絵 (著) 小学館 2023/8/4に発行された文章です。
人類の歴史は百万年。だが、子どもと女性の人権の歴史は、まだ百年に満たない。
舞台は、令和と昭和の、とある出版社。コロナ蔓延の社会で、世の中も閉塞感と暗いムードの中、意に沿わない異動でやる気をなくしている明日花(28歳)。そんな折、自分の会社文林館が出版する児童向けの学年誌100年の歴史を調べるうちに、今は認知症になっている祖母が、戦中、学年誌の編集に関わっていたことを知る。
世界に例を見ない学年別学年誌百年の歴史は、子ども文化史を映す鏡でもあった。
なぜ祖母は、これまでこのことを自分に話してくれなかったのか。その秘密を紐解くうちに、明日花は、子どもの人権、文化、心と真剣に対峙し格闘する、先人たちの姿を発見してゆくことになる。
子どもの人権を真剣に考える大人たちの軌跡を縦糸に、母親と子どもの絆を横糸に、物語は様々な思いを織り込んで、この先の未来への切なる願いを映し出す。
戦争、抗争、虐待……。繰り返される悪しき循環に風穴をあけるため、今、私たちになにができるのか。作品紹介より引用
この文書は 昭和と令和、それぞれの時代に出版社で働く女性の日常を通して戦争の恐ろしさ、子どもの人権、女性の社会進出についてを考えさせられる一冊です。
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出題は3問、3解答 文字数は約5400文字
54×21×5.5で概算しています。
問1三津彦が「児童文学の仕事」についてどのようなことを重視しているかを説明する問題。
問2二重に捨てられた気分の意味について、一つは前提として書いてあり、もう一つの意味を答えさせる問題。
問3「ああいう誠実さ」とはどういうことかを説明する問題。
主要部分と補助部分で問題作成者の問いに答えることです。冒頭で教育理念「開物成務」を思い出せながら答えられるといいなと思います。
問1、2の解答欄は2行の自由記述なので最大1行35~40文字と仮定し、70~80字(80%解答で56~64文字以上)で答えられるようにするといいでしょう。問3はそれよりも少し短い2.5行になっているので見落とさないようにできたかがポイントです。誠実さ=リアリズムという言葉が見つかればある程度は答えやすかったと思いますが、補助部分のつなげ方で苦労した子どもも多かったかもしれません。最高点が80点という観点から、主要部分と補助部分の組み合わせで極力抜け漏れない解答を書くとすると、文字数は比較的多めになります。過去問演習をするときの参考にしてください。
■大問2:随筆 「世界の適切な保存」 永井玲衣著
「世界の適切な保存」 永井玲衣著 2024/7/25に発行されたエッセイです。
ロングセラー『水中の哲学者たち』で話題沸騰!
対話する哲学者・永井玲衣、待望の最新刊!見ることは、わたしを当事者にする。
共に生きるひとにする。世界をもっと「よく」見ること。その中に入り込んで、てのひらいっぱいに受け取ること。
この世界と向き合うための哲学エッセイ。作品紹介より引用
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『水中の哲学者たち』は渋谷教育学園幕張中(1次)で出題されていました。

出題は4問、8解答 文字数は約3900文字
56×70で概算しています。
漢字は4問 一画ずつていねいに書きなさいとあるので、しっかり採点時に見られています。全問正解した子どもも多かったと思います。漢字問題については、丁寧に一画ずつ書くという指導は文字文化の大切さを伝える良い機会ですね。正解率は高いと思いますが子どもたちの努力の賜物でしょう。
問2はケースによる喜劇を説明する問題。「どのような点が」と聞かれているので、喜劇とつながるように、シンポジウムの話と検収センターの話をそれぞれ書くことです。傍線部に「悲劇でもあり、喜劇でもある」とあるので悲劇から探る子どもも多かったのではないでしょうか。「悲劇でもあり、喜劇でもある」という表現から両方の視点をしっかり掘り下げる必要がある点が、なかなか挑戦的な問題だと思います。
問3は対比表現を人間について「どのようなことを説明しているか」について答える問題。千種創一 (ちぐさ そういち )作の詩歌で「魚は閉じるまぶたを持たず」ということがまず何かをとらえます。魚は水の中で暮らしているので、目が乾くことがないということを人間の場合に即して「置換」する必要があります。そこから歌中にある「心」は人のことなので、まぶたとの関係性をどう書くかを決めるのにある意味「勇気」が必要だった子どももいるはずです。人が目を閉じたり開いたりするということ×心を中心に文章を見返しまとめる問題です。これ以上はここでは言わないようにしますが、千種創一さんの詩を深く読み解く力が試されているのが興味深いです。「魚は閉じるまぶたを持たず」という表現が比喩的であり、それを人間と結びつけて解釈する思考の柔軟性を求められています。
問4は「とんでもない」という理由を書く問題。「伝えること」について書くのはわかりますが、問3で時間がかかると思ったように答えを書ききれないかもしれません。受験者は自分と相手の立場を理解しながら読めている読解レベルの子どもが多いので、もし問題を解いているときに解答の方針で迷子になるようだったら、乱暴かもしれませんが、先に述べた学園設立時の精神「共立」という視点から「とんでもなく離れている」ということに対し、筆を進めることもありでしょう。いずれにしても、読む力と論じる力を総合的に試しているように思います。
まとめ
開成中学校は首都圏で最難関の男子校で、全国から優秀な受験生が集まる憧れの場です。国語の試験はすべて漢字と記述のみで構成され、小説と随筆を題材に、深い読解力や論理的な考察力が求められます。2025年の実質倍率は2.7倍で、教育理念には「開物成務」「質実剛健」「自由」などが掲げられ、生徒の成長を幅広く支えています。
受験生へのメッセージ
挑戦することで新しい自分に出会えます。難問の先にこそ、達成感や学びがあります。大切なのは最後まで諦めず、自分の力を信じること。これまでの努力は必ず結果につながります。自分を信じて頑張ってください!
記述力は一長一短には身につきません
記述力とは、文章を的確に読み取って整理し、問題作成者の問いに理解したことを表現する能力です。このスキルは、短期間で急激に向上するものではなく、日々の地道な努力と適切な訓練が求められます。
- 読解力が基盤
記述力を高めるためには、読解力が不可欠です。文章を正確に理解できなければ、その要点を押さえた記述が困難になります。 - 論理的思考力が必要
情報を整理し、論理的に文章を組み立てる能力が求められます。このスキルを身につけるには繰り返しの練習が必要です。 - 表現力の向上
適切な言葉や文法を使い、自分の考えを正確に伝える表現力も重要な要素です。これもまた継続した学習によって育まれます。
対策
- 日々の読書習慣
本や新聞を読むことで、語彙力や読解力が向上します。また、読んだ内容を簡単にまとめる練習を行うと効果的です。国語の問題文を読むことも同じです。 - 過去問や模擬問題の演習
実際の中学受験の問題を使い、記述の練習を積み重ねることが重要です。定期的に時間を設けて解き、回答の質を高めていきます。 - プロによる添削と指導
演習した記述問題を、国語指導に精通したプロの先生や家庭教師に添削してもらいましょう。プロからの具体的なフィードバックを受けることで、自分の弱点を発見し、効果的に改善できます。 - 文章の要約練習
新聞記事や短い文章を読んで、それを自分の言葉で要約する練習を継続的に行うことで、要点を押さえた記述が可能になります。 - アウトプットを増やす
作文や感想文を書くなどの機会を増やし、それを他人に読んでもらいフィードバックを受け取る習慣を身につけます。どんな話だったか、どんな設問だったかを話し合うだけでも効果はあります。
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