BGMを流すのは良い?悪い? ― 勉強と音のちょうどいい距離感を考える

BGMを流すのは良い?悪い? ― 勉強と音のちょうどいい距離感を考える

勉強中のBGMについて、永遠のテーマみたいに語られ続けています。 「音楽がないと集中できない」という人もいれば、「無音じゃないと無理」という人もいる。 でも実は、どちらが正しいというより 脳の仕組みとどう付き合うか がポイントです。

目次

◆ 基本は「なし」が最強です

脳科学的には、勉強中は無音がもっとも集中しやすいと言われています。 理由はシンプルで、音があると脳が「処理」してしまうから。音楽を聴いているつもりがなくても、 脳は勝手にテンポやメロディを拾ってしまう。 その分、国語の読解や記述に使うはずの処理能力が奪われます。

◆ どうしても音を流したいなら「消音レベル」

とはいえ、完全な無音が逆に落ち着かない子もいます。 そんなときは 聞こえるか聞こえないかギリギリの音量がベストです。

  • 集中すると自然に聞こえなくなる
  • 音楽が主役にならない
  • 気分だけ整えてくれる

この「消音レベル」は、脳の負担を最小限にしつつ、 やる気スイッチとしての役割だけ残してくれる絶妙なラインです。

◆ やる気が出ると、音は勝手に消える

面白いのは、本当に集中状態に入ると音が消えるように感じること。 これは脳が「今は勉強に全力投球するぞ」と判断して、 外部の刺激をシャットアウトしている証拠。つまり、 音が気にならなくなった瞬間=集中モード突入 というわかりやすいサインにもなります。

◆ テストは完全無音。だからこそ準備が必要

入試も模試も、基本は無音。 だから普段から無音に慣れておくのが理想です。でも、ここでひとつ使えるテクニックがあります。

◆ お気に入りの音楽を思い出すという裏技

普段の勉強で、 お気に入りの曲を「消音レベル」で流しておくと、 脳がその曲と集中状態をセットで覚えます。そしてテスト本番。 無音の教室で、 その曲を頭の中でそっと思い出すと…一瞬でいつもの集中モードに戻れます。これが心理学でいう アンカリングです。 緊張しやすい子ほど効果が出やすい方法です。

アンカリング(アンカリング効果)とは?

一言でいうと「最初に目にした数字や情報が『イカリ(アンカー)』のように心に突き刺さり、その後の判断に影響を与えてしまう心理現象」のことです。船がイカリを下ろすと、そこから離れられなくなる様子に例えてこう呼ばれます。わかりやすく3つのポイントで解説します。

1. 具体的な例(買い物)

一番身近なのは、お店の「値引き」です。

パターンA: 「このカバンは5,000円です」と言われる。
パターンB: 「このカバンは元々20,000円ですが、今は特別に5,000円です」と言われる。

    どちらも値段は同じ5,000円ですが、パターンBの方が「すごくお得だ!」と感じませんか?これは、最初に提示された「20,000円」という数字がアンカー(基準)になり、「それに比べて5,000円は安い」と判断がゆがめられているからです。

    2. なぜ起こるのか?

    人間は、物事の絶対的な価値を判断するのが苦手です。そのため、「何かと比較して判断したい」という本能があります。比較対象がないとき、脳は手近にある情報(最初に見た数字など)をとりあえずの基準にしてしまいます。たとえその数字がデタラメであっても、無意識に引きずられてしまうのがこの心理の怖いところです。

    3. いろいろな場面でのアンカリング

    • 給与交渉
       最初に「希望額は400万円です」と言った場合、その数字が基準になり、交渉はその前後で行われるようになります。
    • 行列「3時間待ち」という看板を見た後に「1時間」で入店できると、実際には長い待ち時間なのに「早かった!」と感じてしまいます。
    • 目標設定
      高すぎる目標を最初に掲げると、結果がそこまで届かなくても、低い目標を立てた時より高い成果が出ることがあります。

    対策:アンカリングに惑わされないために

    アンカリングは強力な心理効果なので、完全に防ぐのは難しいですが、以下のことを意識すると冷静になれます。

    1. 「そもそも、これ自体の価値はいくらか?」を考える
      「元値」や「割引率」を無視して、その物自体に5,000円払う価値があるか考える
    2. 別の情報を集める
      他店の価格や相場を調べて、別の「アンカー」を自分の中に作る
    3. 即決しない
      時間が経つと、最初に刺さったアンカーの影響力は少しずつ弱まります

    まとめ
    アンカリングとは「最初の情報に判断を縛られてしまうこと」。これを知っているだけでも、買い物や交渉で損をする確率を減らすことができます。逆にテスト前の音楽を聴く状態を思い出すことが自己暗示のトリガーになり、良い意味でのアンカリング効果を醸成します。

    ◆ まとめ:BGMは使い方で武器にも邪魔にもなる

    • 基本は無音が最強
    • 流すなら「消音レベル」
    • 集中すると音は自然に消える
    • テストは無音だから、普段から慣らす
    • お気に入りの曲を思い出すことで本番の集中を引き戻せる

    ここから先は本気で国語の学習について、何とかしたいという方のみ読んでください。深堀りして書いてあるので同じ内容を復習しながら3周するイメージです。最後にダウンロード特典もありますので、家族でコミュニケーションをとっていただき、役にたったものが一つでもあれば幸いです。

    国語学習とBGMについて深掘りする

    国語は音を処理する力が命

    国語は文字を読む科目に見えて、 実は 脳内で「音」に変換して理解する科目でもあります。音読をたくさんした子どもほど頭の中で無意識レベルで音読していると個人的に考えています。つまり、文章を読むとき、 脳は無意識に「音読のような処理」をしてる。勉強中にBGMがあると、 脳が 文章の音処理+音楽処理 の二重負担になってしまうわけです。

    歌詞ありの音楽は国語の大敵

    歌詞がある音楽は、 脳が「言葉」として処理してしまいます。つまり、 文章の意味処理と歌詞の意味処理がぶつかるわけです。読解のスピードが落ちたり、 内容が頭に入らなかったりするのはこのせいです。国語の勉強中は、 歌詞ありBGMは避けたほうがいいというのは腑に落ちましたでしょうか。

    どうしても音が必要なら消音レベルで

    無音が落ち着かない子もいる。 そんなときは 聞こえるか聞こえないかの消音レベル。このくらいの音量なら、 脳はほぼ処理しないから国語の邪魔にならない。そして集中すると自然に音が消える。 これは 脳が国語の処理に全振りしている証拠です

    テスト本番は無音。だから思い出すBGMが効く

    入試は完全無音。 だから普段から無音に慣れておくのが理想です。でも、 お気に入りの曲を消音レベルで勉強とセットにしておくと、 本番でその曲を頭の中で思い出すだけで 集中モードに戻れる(アンカリング)。国語はメンタルの安定も点数に直結するから、 この方法は本番でかなり強力です。

    読解の立ち上がりを早くする習慣

    読解の立ち上がりは習慣で速くなる)

    国語の読解って、 「最初の1〜2分」で集中に入れるかどうかが勝負です。この立ち上がりが遅い子は、 本来の実力を出し切れないままテストが終わることもあります。でもこれは才能ではなくて、 毎日の小さな習慣で速くできます。

    読む前に3つだけ整える

    読解に入る前の30秒で、脳の準備が整います。

    • 姿勢を整える
    • 深呼吸を1回
    • 目を閉じて「今から読む」と意識する

    これだけで脳が 「読むモード」に切り替わるんです。これらはスポーツのルーティンと同じで、 読解にもある意味「儀式」があると立ち上がりが速くなります。私の場合は週中前には「コーヒーを飲んでいる姿を思い出す」ことです。香りや湯気、味などのどれかを思い出したらモードに入った感覚になります。

    最初の1段落だけ音読のつもりで読む

    黙読なのに、 脳は音読のように音で文章を処理しています。だから、最初の1段落だけ、 声に出さない音読のつもりで読むと、 脳が一気に読解モードに入る。ジャンルは問いません。いわばアイドリングです。

    • リズムがつかめる
    • 主語述語が見えやすくなる
    • 情景が立ち上がる

    読解のエンジンが一気に回り始める。

    ④いつものBGMを思い出すで一瞬で集中

    普段の勉強で、 お気に入りの曲を消音レベルで流しておくと、 脳がその曲と「集中状態」をセットで覚える。テスト本番で無音でも、 その曲を頭の中でそっと思い出すだけで 一瞬で読解モードに戻れる(アンカリング)。しつこいレベルで書いていますが、納得感はつきましたでしょうか。読解の立ち上がりが速い子は、 本番で安定して点が取れるのです。

    ダウンロード特典 チェックリスト

    今日からすぐ整えられるBGM環境チェックリストです。この1枚を印刷し、まずは勉強する環境を整える意味を音の切り口から考えてみてください。必要だと思う部分は親子で違う場合もありますので、この紙に書いてあることを通じてコミュニケーションをとりながら必要なものをやってみることをお勧めします。

    印刷が不要の場合は👇を使ってください。

    我が子のためのBGM環境チェックリスト

    勉強中の音は、国語の集中に直結します。
    まずはこの3つを確認してください。
    □ 基本は無音で勉強できる環境になっている
    □ どうしても音が必要なときだけBGMを使う
    □ 音量は「聞こえるか聞こえないか」の消音レベル

    BGMを流すなら質を整える
    国語は音の処理が多い科目。音選びはとても重要です。
    □ 歌詞ありの音楽は避けている
    □ 自然音・環境音・ゲーム音楽など言葉のないものを選んでいる
    □ テンポが一定で、気持ちが乱れない曲を選んでいる
    □ 子どもが「落ち着く」「安心する」と感じる音を優先している

    テスト本番を見据えた準備
    本番は完全無音。だから普段の音が武器になる。
    □ 無音での勉強時間を毎日少し入れている
    □ お気に入りの曲を“消音レベル”で勉強とセットにしている
    □ テスト前にその曲を思い出す練習をしている(アンカリング)
    □ 音がなくても集中できる立ち上がりルーティンを作っている

    家庭内の環境が騒がしい場合は、消音としてBGMを流す工夫も考えてみてください。

    最後までお読みいただきありがとうございました。
    赤めがね先生:IN国語教育研究室

    👉赤めがね先生:IN国語教育研究
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    この記事を書いた人

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