家では読めているのに、なぜ国語の点だけ伸びないのかの話

中学入試国語で多くの親子がつまずく「読み方の正体」
「家で問題を解いている様子を見ると、ちゃんと読めているように見えるんです。でも、テストになると点が取れなくて……」中学受験を控える子を持つ親の方から、何度も聞いてきた言葉です。宿題もこなしている。音読もできている。内容について質問しても、それなりに答えられる。それなのに、模試やテストでは思うような点数が出ない。すると親としては、ついこんな言葉が浮かびます。「もっと丁寧に読みなさい」「ちゃんと考えて答えなさい」「読めていないんじゃないの?」しかし、ここで一つ、はっきりお伝えしたいことがあります。国語の点が伸びない理由は、「文章が読めていないから」ではないことがほとんどです。問題は別のところにあります。
A story about why your Japanese language scores don’t improve even though you can read at home.
点が伸びる子と伸びない子の差は「センス」ではない
国語という科目は、「センスの教科」「向き不向きがある」と思われがちです。しかし、実際に多くの子どもを見てきて感じるのは、点が伸びるかどうかを分けているのは才能ではない、という事実です。差を生んでいるのは、
文章の読み方にどのような「手順」があるかどうか。これは同じ文章を読んでいても、人により異なります。
・どこから読み始め
・何に注目し
・どう判断して答えを選んでいるか
このプロセスが違うだけで、結果は大きく変わります。では、具体的にどんな違いがあるのでしょうか。
点が伸びる子と伸びにくい子の3つの違い

① 読む順番の違い
点が伸びる子は、まず本文を通して読みます。最初から最後まで読み、話の流れや全体像をつかもうとします。そのうえで設問を読むので、「この話は何について書かれていたか」「筆者はどんなことを伝えたかったのか」という土台が、すでに頭の中にあります。一方、点が伸びにくい子はどうでしょうか。最初に設問を読み、「この問いの答えはどこだろう?」と、本文の中を探しに行きます。すると、どうしても部分的な文や言葉だけを追う読み方になります。全体の流れをつかまないまま答えを選ぶため、一見合っていそうでも、実はズレている――そんな選択をしやすくなるのです。
② 見ているポイントの違い
点が伸びる子は、本文と選択肢を比べるとき、「意味が同じかどうか」を見ています。言葉そのものが違っていても、
「これは言いかえだな」「表現は違うけれど、言っていることは同じだ」と判断する力があります。一方で点が伸びにくい子は、本文の中にある言葉と、同じ言葉を選択肢の中から探そうとします。すると、
・言葉は似ているけれど意味が違う
・大事な条件が抜けている
といったズレに気づけません。
「ちゃんと読んだのに間違えた」という状態は、実はここで起きていることがとても多いのです。
③ 根拠の扱い方の違い
点が伸びる子に「どうしてその答えにしたの?」と聞くと、本文のどこを根拠にしたのかを説明できます。完璧でなくても、「この辺にこう書いてあったから」と、文章に戻って話そうとします。一方、点が伸びにくい子は、「なんとなく」「これっぽいと思った」という答えになりがちです。つまり、自分の判断基準が言葉になっていないのです。これでは、同じミスを何度も繰り返してしまいます。
親ができる一番シンプルで効果的な関わり方
ここまで読むと、「じゃあ、家で何をすればいいの?」と思われるかもしれません。特別な教材や、難しい指導は必要ありません。親ができることは、とてもシンプルです。点が伸びないとき、「もっとちゃんと読んで」と言う代わりに、こう聞いてみてください。「どこに根拠があった?」もし子どもが答えられなくても、大丈夫です。一緒に本文に戻って、「ここかな?」「この一文はどう思う?」と確認すればいいのです。このやり取りを繰り返すことで、子どもは少しずつ理解していきます。「読むということは、なんとなく感じることではなく、根拠を見つけることなんだ」この気づきが、国語の得点の安定化につながります。
まとめ
伸びない原因は才能ではない
国語の点が伸びないと、「この子は国語が苦手なのかもしれない」と不安になるのは自然なことです。でも、多くの場合、問題は才能ではありません。読み方の型を知らないだけです。その型を、親子で一緒に確認していくだけで、国語の読み方は確実に変わっていきます。次の演習で、ぜひ一度だけでいいので、こう声をかけてみてください。「どこに根拠があった?」その一言が、お子さんの国語を「なんとなく解く教科」から「考えて解ける教科」へと変えていく第一歩になります。
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最後まで読んでいただきありがとうございました。ここまで読んで一番気になったことを一言で思い出してください。それをお子さんに伝えてあげることから子育ての変容行動がちょっとずつかわります。何かのよいきっかけになれば幸いです。


