語彙力は安心感から育つ。日常会話で伸ばす国語力のコツ

語彙力は、ドリルだけでは育ちません。当たり前ですが…。実は、家庭の会話の安心感が大きく影響しています。お子様が新しい語彙をさらっと脳内に入れ(これが大切)、使いこなせるようになるのが理想です。今回は、親子の会話がどのように語彙力と読解力につながるのか、具体的なコツとともに解説します。中学受験の国語で差がつく力のひとつが「語彙力」です。しかし、語彙とは単に言葉を覚えることではありません。言葉を使いたくなる環境でこそ育つ力 です。最後に5問テストがあるのでよかったら親子で楽しんでみてください。Vocabulary grows from a sense of security.
「安心して話せる」環境が、語彙力を大きく伸ばす!

お子様の語彙力を伸ばすために、塾や教材選びに力を入れている保護者の方も多いと思います。もちろん、それらは大切な要素ですが、実は、もっと身近で、効果的な方法があるのです。それは、お子様が「安心して話せる」環境を作ってあげることです。
なぜ「安心して話せる」と語彙力が伸びるの?
お子様は、信頼できる大人、つまり「この人になら何を話しても大丈夫」と思える相手の前でこそ、様々な「言語活動」を自然と行います。具体的には、以下のようなことが挙げられます。
- 気持ちを言葉にする
嬉しい、悲しい、悔しい…といった様々な感情を、言葉で表現しようとします。 - 新しい言葉を試す
塾や本で覚えた新しい言葉を、実際に使ってみようとします。「この言葉、ここで使ってみたらどうかな?」と、試行錯誤するのです。 - 説明しようとする
自分の考えや体験を、相手にわかりやすく伝えようとします。「どうすれば伝わるかな?」と考えながら、言葉を選び、組み立てます。
これらの「言語活動」は、お子様の語彙力を育むための、まさに「土壌」となります。安心して話せる環境があるからこそ、様々な言葉に触れ、使い、理解を深めることができるのです。
「安心して話せる」環境を作るために、保護者ができること
では、具体的にどのようなことを心がければ、「安心して話せる」環境を作ることができるのでしょうか?
- 否定的な言葉を控える
- 「そんなこと知ってるでしょ」「どうしてできないの?」といった言葉は、お子様の自信を失わせ、話すことをためらわせてしまいます。
- まずは、お子様の言葉に耳を傾け、受け止める姿勢を示しましょう。
- 間違いを恐れずに話せる雰囲気を作る
- 完璧な言葉遣いを求めるのではなく、「話してくれてありがとう」という気持ちを伝えましょう。
- 間違った言葉を使っても、頭ごなしに否定するのではなく、「〇〇って言うんだよ」と優しく教えてあげましょう。
- 積極的に会話をする時間を作る
- 夕食時や寝る前など、リラックスできる時間帯に、お子様とじっくり向き合いましょう。
- 学校であったこと、友達のこと、興味のあることなど、どんな話題でも構いません。
- お子様の目を見て、相槌を打ちながら、丁寧に話を聞いてあげましょう。
- お子様の興味関心を尊重する
- お子様が興味を持っていることについて、積極的に質問してみましょう。
- 一緒に調べたり、体験したりすることで、会話が広がり、新しい言葉を学ぶきっかけにもなります。
- 「聞くプロ」になる
- お子様の話を遮らず、最後まで聞きましょう。
- 途中で意見やアドバイスを挟みたくなっても、まずは我慢。
- 「それで?」「どう思ったの?」など、さらに話を引き出すような質問を心がけましょう。
中学受験は、お子様にとって大きな挑戦です。プレッシャーや不安を感じることもあるでしょう。そんな時、保護者の皆様が「安心して話せる」存在であることが、何よりも大切です。
お子様の言葉に耳を傾け、気持ちを受け止め、寄り添うことで、語彙力だけでなく、心の成長も大きく促すことができます。ぜひ、今日から「安心して話せる」環境づくりを意識してみてください。
家庭でできる!語彙力UPの会話術3選

お子様の語彙力を伸ばすために、特別な教材や塾に通わせるのも一つの方法ですが、実は、日々の会話の中に、語彙力を大きく伸ばすヒントが隠されています。今日から実践できる、3つの会話術をご紹介します。
1.「聞くプロ」になろう!~話を遮らず最後まで聞く~
お子様が何かを話している時、つい口を挟んでしまったり、先回りして結論を言ってしまったりすることはありませんか?しかし、これは語彙力UPの妨げになる可能性があります。
- 「聞くプロ」になるためのポイント
- お子様の目を見て、相槌を打ちながら、丁寧に話を聞きましょう。
- 途中で意見やアドバイスを挟みたくなっても、まずは我慢。
- 「それで?」「それでどうなったの?」など、さらに話を引き出すような質問を心がけましょう。
- お子様の話が終わるまで、スマホやテレビに気を取られないようにしましょう。
2.「理由」を添える魔法!~親が理由や根拠を言葉で示す~
日常会話の中で、何気なく「今日は寒いね」と言うだけでなく、「今日は寒いね。雲が多いから、太陽の光が遮られているんだね」のように、理由や根拠を添えて話すことを意識してみましょう。
- 「理由を添える」ためのヒント
- 天気の話
「雨が降ってきたね。空に黒い雲がたくさんあるから、しばらく降り続きそうだね」 - 食事の話
「この野菜、甘くて美味しいね。太陽の光をたくさん浴びて育ったからかな?」 - ニュースの話
「〇〇選手が優勝したね。日々の努力が実を結んだんだね」3.感情を言葉で表現!~「どう思った?」「どんな気持ちになった?」と質問する~
- 天気の話
お子様が何かを体験した時、「楽しかった?」「面白かった?」と単純な質問で終わらせていませんか?
「どう思った?」「どんな気持ちになった?」と、感情を言葉にする質問を意識してみましょう。
- 「感情を言葉にする」ための質問例
- 映画やドラマ、アニメを見た後
「あの映画を見て、どんな気持ちになった?」「一番印象に残ったシーンはどこ?なぜそう思った?」 - 友達と遊んだ後
「今日、友達と遊んで、どんな気持ちだった?」「楽しかったこと、嬉しかったこと、何かあった?」 - 本を読んだ後
「この本を読んで、どう思った?」「主人公の気持ち、わかる?」
- 映画やドラマ、アニメを見た後
語彙力UPは、一朝一夕にできるものではありません。しかし、日々の会話の中で、これらの会話術を意識することで、着実に語彙力を伸ばすことができます。何よりも大切なのは、お子様とのコミュニケーションを楽しむことです。ぜひ、今日から会話術を実践して、お子様の語彙力UPをサポートしてください。
語彙力は「親子の安心感」の上に積み上がる!

お子様の語彙力を伸ばすために、塾に通わせたり、難しい問題集に取り組ませたりするのも、もちろん大切です。しかし、本当に大切なのは、勉強だけでは決して身につかない、家庭での何気ないやり取りの中に隠されています。
語彙力の土台は、親子の「安心感」
お子様の語彙力は、まるで積み木のように、一つ一つ積み重ねられていきます。そして、その積み木を支える土台となるのが、親子の「安心感」なのです。崩れることもあるように感じますが、言い直したり、他の表現を使うなどさせている指導者は多くいます。
- 「安心感」を育むために、できること
- お子様の言葉に、耳を傾ける
- お子様が話している時は、スマホやテレビを消して、お子様の目を見て、真剣に話を聞きましょう。
- 途中で口を挟んだり、否定的な言葉を言ったりせずに、最後まで話を聞き終えましょう。
- お子様の気持ちを受け止める
- お子様が嬉しい気持ちを話してくれたら、一緒に喜びましょう。 悲しい気持ちや悔しい気持ちを話してくれたら、「辛かったね」「悔しかったね」と共感の言葉を伝えましょう。
- お子様の気持ちを否定したり、無理に励ましたりせずに、寄り添うことが大切です。
- 間違いを恐れずに話せる雰囲気を作る
- お子様が言葉を間違えて使っても、頭ごなしに叱ったり、からかったりせずに、優しく正しい言葉を教えてあげましょう。
- 完璧な言葉遣いを求めるのではなく、お子様が話そうとする気持ちを大切にしましょう。
- 一緒に楽しい時間を過ごす
- 一緒に遊んだり、本を読んだり、料理をしたり、旅行に行ったり…
- 日常の様々な体験を通して、お子様は新しい言葉や知識を学びます。
- 楽しい時間を共有することで、親子の絆が深まり、「安心感」も育まれます。
- お子様の言葉に、耳を傾ける
繰り返しになりますが、語彙力は、単なる知識ではありません。お子様の思考力や表現力、コミュニケーション能力の基盤となる、大切な力です。そして、その語彙力を育むためには、親御さんがお子様に寄り添い、温かい愛情を注ぐことが何よりも大切です。
まとめ
・語彙力は安心感のある会話から育つ
・親が見本となり、理由や気持ちを言語化する
・会話の質が読解力・記述力を伸ばす土台になる
毎日の会話が、そのまま国語力のトレーニングになります。
語彙力確認テスト5問
親子で話し合いながらやってみてください。大事なのはさらっとクイズとして学ぶ感じで行うことです。結果にこだわる必要はありません。解説をよんで認知の仕方を確認するとよいです。
1. 次の【 】にあてはまる最も適切な言葉を、ア~エの中から選びなさい。
彼は、【 】とした態度で、難しい問題にも果敢に挑戦した。
ア. 悠長 イ. 杜撰 ウ. 泰然 エ. 凡庸
2. 次の文の( )に入れるのに最も適当な言葉を選びなさい。
その政治家は、国民の期待を( )にして、私腹を肥やした。
ア.逆手 イ.出汁 ウ.踏襲 エ.杞憂
3. 次の言葉の意味として最も適切なものを、ア~エの中から選びなさい。
「機知」
ア. 危険を察知する能力
イ. 相手の気持ちを理解する能力
ウ. その場に応じた、とっさの鋭い才知
エ. 計画を立て、実行する能力
4. 次の【 】にあてはまる最も適切な言葉を、ア~エの中から選びなさい。
事件の真相は【 】に包まれており、捜査は難航している。
ア. 混沌 イ. 隠蔽 ウ. 虚無 エ. 雲霧
5. 次の慣用句の意味として最も適切なものを、ア~エの中から選びなさい。
「二の句が継げない」
ア. 非常に驚いて、次の言葉が出てこないこと
イ. 前の言葉を否定して、別の言葉を付け加えること
ウ. 相手の言葉を遮って、自分の意見を主張すること
エ. 相手の言葉を理解できず、質問を繰り返すこと
解答と解説
1. 解答:ウ. 泰然
- 解説
「泰然」とは、落ち着き払っていて、ものに動じない様子を表す言葉です。難しい問題に果敢に挑戦する態度と合致します。- ア. 悠長:のんびりしている様子
- イ. 杜撰:いい加減で、手抜きが多い様子
- エ. 凡庸:平凡で、特に優れている点がないこと
2. 解答:ア.逆手
- 解説: 「逆手にとる」とは、不利な状況や相手の弱点などを利用して、自分に有利になるように利用することを意味します。国民の期待を裏切って私腹を肥やすという文脈に合致します。
- イ.出汁:材料の旨味を引き出すために使うもの。
- ウ.踏襲:先人のやり方をそのまま受け継ぐこと。
- エ.杞憂:無用の心配をすること。
3. 解答:ウ. その場に応じた、とっさの鋭い才知
- 解説: 「機知」とは、その場に応じた、とっさの鋭い才知、頓知のことです。ユーモアを交えて、賢く対応する能力を指します。
4. 解答:エ. 雲霧
- 解説
「雲霧」とは、雲や霧が立ち込めている様子から、真相がはっきりしないことを意味します。事件の真相が不明であることを表すのに適しています。- ア. 混沌:物事が入り乱れて、区別がつかない状態
- イ. 隠蔽:事実を隠して、覆い隠すこと
- ウ. 虚無:何もないこと、無意味なこと
5. 解答:ア. 非常に驚いて、次の言葉が出てこないこと
- 解説
「二の句が継げない」とは、驚きやショックで、次に何を言えばいいのかわからなくなる状態を表す慣用句です。
これらの問題を通して、お子様の語彙力を確認し、苦手な分野を把握して、今後の学習に役立ててください。5問全部できる必要はありません。上記の記事内容でさらっとお子様の脳内に入るものがあれば幸いです。


