海陽学園中学は西の灘中、東の開成中と並び、最難関中の一つです。「社会で活躍するための能力」を高める取り組みを行う愛知県の全寮制の学校です。海陽学園が目指す全人教育は全寮制の強みを活かし、「社会で活躍するための能力」と「学力」を高めつつ、豊かな「教養」を身につけるとともに、生徒一人ひとりが自らの将来に向けた「志」を醸成することを目指しているのが特色です。50分で大問2題。全27問の構成。大問1は2題の文章、大問2は小説。記述問題は4題。長文記述もあるため、全問書き切り3倍以上の倍率を乗り越えるヒントになれば幸いです。
Kaiyo Gakuen Junior High School 2025 (Special Scholarship Students) Examination Questions Analysis.
実質倍率は3.3倍
募集人数 20 | 応募者数 358 | 受験者数 355 | 合格者数 108 | 実質倍率 3.31 |
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試験について入試データ→海陽学園中
海陽学園中の2025年第1回の実質倍率は3.31倍でした。海陽学園中学は西の灘中、東の開成中と並び、最難関中の一つです。特別給費生の入試なので、全国から受験者が集まります。
将来の日本を牽引する人材の不足
その危機感から、80社に及ぶ企業の賛同を得て
私たちは立ち上がりました。
子どもの能力を伸ばし、次代のリーダーとして
育てる教育とは?
この問いに対する1つの答えが、
全寮制のもとで、人格、教養、学力を育成する
海陽学園です。
引用:海陽学園HPより
全寮制の強みを活かし、「社会で活躍するための能力」と「学力」を高めつつ、豊かな「教養」を身につけるとともに、生徒一人ひとりが自らの将来に向けた「志」を醸成することを目指している学校です。
大問1: 2つの随筆文
文章Ⅰ:随筆「客観性が足りない」
武田砂鉄著 世界思想社編集部編 世界思想 51号 2024春に掲載された文章です。Amazonはコチラ→世界思想51号
2015年『紋切型社会ーー言葉で固まる現代を解きほぐす』で第25回Bunkamuraドゥマゴ文学賞を受賞。他の著書に『今日拾った言葉たち』『父ではありませんが 第三者として考える』『なんかいやな感じ』などがある。週刊誌、文芸誌、ファッション誌、ウェブメディアなどの媒体で連載を多数執筆するほか、近年はラジオパーソナリティとしても活動されています。武田砂鉄さんのXはコチラ→武田砂鉄
世界思想社とは日本の出版社ですが、学術出版部門では世界思想社、赤本などの教育書では教学社というように、ブランドを使い分けている出版社です。豊かな「教養」の扉が問われています。
文章Ⅱ:随筆「君の言い訳は最高の芸術」
最果タヒ著 河出文庫
至極のエッセイ45本に加え、文庫版の「おまけ」9本&「あとがき」を収録。あなたの心の中でうごめく「曖昧な感情」に、「曖昧なまま」そっと寄り添ってくれる沢山の言葉たちー最果タヒ初のエッセイ集が待望の文庫化!引用:本書内容紹介より
さいはて タヒ:詩人・小説家。2006年現代詩手帖賞を受賞。07年、第一詩集『グッドモーニング』で中原中也賞、15年、詩集『死んでしまう系のぼくらに』で現代詩花椿賞を受賞。著書多数。
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出題は9問、18解答 文字数は文章Ⅰが約3800文字、文章Ⅱが約1800文字
※文字数は1行40文字で換算しました。
文章Ⅰ・Ⅱを両方読んでから問1~始める場合、文章Ⅰを読んで問1~6を解く。どう解いたかによって問7・8への時間配分が異なってきます。最後に漢字があるので、同音異義語、同訓異字語はきちんと仕上げている子どもは苦もなく解けたと思います。最初にさっと漢字を書き上げる子もいたでしょう。文章Ⅰの問1から記述問題で理由をとう問題。落ち着いてここで得点をとって次にいきたい。問2は記述で「正」の使われる意味を改めて問う問題だが、正式な、レギュラーなどから想起して答えられれば解ける問題。練られているなと思います。問4は理由を問う40字以内の記述問題。1回で読めていれば主要部分は捉えられるので、補助部分をどこから探すのかで時間をかけないようにまとめたい。問6は2択までは絞れるが、設問をよく読んでいないと引っかかる問題「おそらく」は「正しい」にかかっていることから冷静に正解を選んで欲しい。問7は文章Ⅱから、60字以内での記述問題。「危なっかしい」に対しての理由なので、主要部分を見つければ補助部分をどう組み合わせるか。補助部分の書き方が因果や対比を用いて、異なる可能性があります。問8は共通テストでも出題されるような問題で、場慣れしている受験生は多いと思います。設問に対して時間をかけずに終わらせることが重要です。最後は文脈から漢字1字だと判断できなくても、解答欄から答えを確信する受験生も多かったと思います。
大問2:小説「胡桃割り 」
永井龍男著 発売日は2016年4月21日。
原典は全集で販売されていないようなので、教科書名短篇 – 少年時代 から以下を紹介します。
ヘッセ、永井龍男から山川方夫、三浦哲郎まで。少年期の苦く切ない記憶、淡い恋情を描いた佳篇を中学教科書から精選。珠玉の12篇。文庫オリジナル。本の紹介より引用
出題は7問、9解答 文字数は約7200文字
やや長文なので、読みきれなかった受験生は少ないはず。冒頭のリード文をしっかり読めば、胡桃が意味するものは何か、読みながら察する受験生も多かったと思います。やや長文程度なので、読みきれなかった受験生は少ないはず。胡幼い僕はに胡桃を割ることはできないが、成長した僕は胡桃を割ることができた。胡桃を自分に重ね、殻を割った=成長したという感じで読めれば昔の文章ではありますが、解きやすかったはずです。
問1は慣用的な意味を選ぶ記号問題なので迷いなく進めて次に進めたい。問2は2か所の傍線部の解釈を選ぶ記号問題。2択までは絞れるので、縁者の見方、父の思いを設問の通りに分けて解釈し、絞っておきたい。家庭第一を妻へと子どもたちに愛情の注ぎ方をわけていることを把握しないと正解にはたどりつけない問題。問3は僕の人物像について、設問に「振り返る」とあるのでどこで話されていたかがわかればすぐ見つかるが、難しければ、最後に回すべき問題。ここで時間を取られないようにしたい。問4は5択の記号問題。「ふさわしくないもの」を選ぶ問題だが割れたのではないかと思われます。「姉の心情」という設問の焦点をぶらさないように選べたかどうか。問5は150字記述。ここが一番時間を使う問題。僕の心の動きを1文ではなくまとめる作業。泣くまでの「経緯」を書くのできっかけは「遠足にいけないかもしれないことで涙があふれた」ということから順を追って2~3文で書けたか。泣き顔を見られるのが嫌で父の書斎へ行った。そこで、イライラから胡桃を割ろうとしても割れず、癇癪を起こし、ナット・クラッカーを放りだしたら皿を割ってしまった。そこでハッと我に返り涙を流すことになる。設問のとおりに「ぼくの心の動き」だけ書くことを忘れると、字数が足りなくなること。最後にどうして泣いたのかを説明することも求められている問題。120文字以上はかけるが、訓練していないと150字オーバーになる可能性が高いと思います。問6は僕の心情は嫁入り前の姉に対して、兄となる人と3人の人物関係から判断できたか。問7は5択で設問も長い。本文の表現や構成についてまずはどういう感じだったか頭の中で考えてから設問を読んで欲しい。イ、エ、オから2択にし、胡桃が意味するものは何かが読めていれば、引っかからずに消去できるので落ち着いて答えを選んで欲しい。主題は「自分の成長」。「斜めよみ」をしていると解けないと思われます。
ここまでたどり着けたならば、合格者平均点は取れたと思われます。
同じ文章とそのほかの良質な文章が一冊にまとまっています。一読をお勧めします。
Amazonはコチラ→教科書名短編(少年時代) 中公文庫

受験者平均点は52.2点、合格者平均点は61.4点。論理的思考力をもって設問に的確に答えること。特に思いっきり書き切ること。これができないと時間が足りなくなる配分です。「次世代のリーダーは自分になる」と、信じ、迷わずに自分の型を貫いてほしいと思います。
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