前回は「読んでおきたい3.11東日本大震災以降に出版された絵本」の紹介をしました。今回はSF作家の星新一の絵本について紹介します。最後の私の問いに対する答えをつくってみてください。小学5年生以上向けの絵本だと考えている理由が問いになっています。
星 新一 (著), 和田 誠 (絵)
「草や木の世話をするモグラがいたら…」花が大好きな女の子が思いつきで描いた一枚の絵が、巡り巡って秘密の研究所に舞い込み…。星新一・和田誠コンビの名作、待望の復刊です。
Amazon 花とひみつより
作品紹介
和田誠の依頼によりできたという絵本。初出は「キンダーおはなしえほん」の1978年3月号。45年以上経っています。ちょっとした誤解から夢がひっそりと展開する独特の魅力があるおはなし。
感心するのは時代を感じさせない物語、そして想像をふくらませてくれる挿し絵。
あらすじ
思わぬ形でハナコちゃんの想像した花を咲かせるロボットモグラが開発され、世界中へ散らばり、人知れず花を咲かせていくう。
感想
モグラのロボットが主役。某独裁国家を彷彿とする秘密研究所。ウイットに富んだ作品として読んだ記憶がよみがえります。星新一のショートショートは現在でも図書館にも多く揃っています。興味があれば、小説へのきっかけになる絵本です。星新一のショートショートは読んだ記憶がある大人も多いと思います。小説の中でもショート・ショートといい短い文章なので、数分で読めることと、誹謗中傷表現がないので老若男女問わずに読めるのが素晴らしいと思います。本が嫌いな子どもに「読んで面白かった話を聞かせて」と紹介しました。「気まぐれロボット」「ノックの音が」「未来いそっぷ」「ボッコちゃん」の順で紹介しています。全部読むといわけではなく、好きなのを1冊。どうしてもといわれたら「ノックの音が」を勧めています。すごく好きになると、アルファベットの登場人物が結構出るという話題で盛り上がります(笑)国語のテスト問題としても数多く出題されていました。
けっしてさびない、銀色をした金属。なかには、強力なモーターが入れられた。原子力電池で、いつまでも動き続ける。何もかもが自動的にはたらくのだ。
星新一 花とひみつ より
40年以上も前に永久機関やエネルギーについて触れられています。3.11までは火力・水力・原子力等バランスをとったエネルギー政策が取られていました。原子力のパワーがどのくらいの熱量発生ができるかというと、小指の先の原料で1年分の電気が賄えると聞いたことがあります。現在は原子力発電は禁止の国もあり、日本は3.11以降停止、再稼働の動きが出ていますが、将来のために慎重に議論する必要があると個人的に考えます。星新一のSF作品の中にある「いつまでも動き続ける動力」が、安全で、人類にとって、地球にとっても良い方向で発明されるといいですね。
入試問題では
【問い】
この話は「あるできごと」がきっかけで話の流れが大きくかわります。そのきっかけを80字程度で説明しましょう。
制限時間は3分
【ヒント】アイテムと登場人物
ハナコちゃん書いた思いつきの絵が風に吹かれ、カモメに拾われた後、ある国のひみつの研究所の所長の机の上に落ちた。その絵を手に取った所長は本国からの命令書の図面だと勘違いしたこと。→これだと88字で時数オーバー。まとめきれていませんね。
ハナコちゃんが書いた思いつきのモグラの絵が風で飛び、偶然が重なり、ある国のひみつの研究所所長が手に取った。所長はその絵を本国からの命令書の図面だと勘違いした。→なんとか79字ですが問いのフィニッシュが不安定です。
所長が絵を命令書と勘違いしたことが書いてあるので部分点はもらえますが字数オーバーは大幅減点か0点ですのでまとめきれなければ2文にすることが基本です。あとは設問にあうようにきっかけなので「~こと。」として表します。
【解答例】
ハナコちゃんが書いた思いつきのモグラの絵が風で飛び、偶然が重なり、ある国のひみつの研究所所長が手に取り、その絵を本国からの命令書の図面だと勘違いしたこと。77字。
「偶然が重なり」はカモメ云々を置換したスキルです。これをさらに短くと言われたらどう書くでしょうか❓
「風で飛んだハナコちゃんのモグラ絵が、ある国の研究所所長の手に渡り、命令書の図面と勘違いされたこと。」
50字程度です。論理的思考ができていれば逆に3分はかからない解答です。
星新一は日本のSF作家として、ショート・ショート(短編小説)のジャンルで有名な作家です。和田誠の挿絵のコンビも知られています。「ちょっと10分、読み物を」と思う場合は手に取りやすい作品です。
前回の記事はコチラ↓
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