たくさん読書をすれば国語力がつくのか?その5

5つの力:文章構成力について

前回は「たくさん読書をすれば国語力がつくのか?その4」国語力の5つの力として「4.文法・語彙力」についてのお話でした。個人的な見解ですが、「語彙」の豊富さは情報を取り入れているかだけでなく、疑問に感じたことを納得しようとする知的活動とそれをアウトプットできるかどうかで決まると感じています。今回は最終回5.についてのお話です。

目次

国語力5つの力

1.読解力:文章を理解し、意味を把握する能力
2.表現力:自分の考えや感情を言葉で表現する能力
3.傾聴力:他人の話を理解する能力
4.文法・語彙力:文法のルールや基本的な文節や単語の意味を理解し、正確に使いこなす能力
5.文章構成力:論理的に情報を整理し、文章を構成する能力

今回は、「5.文章構成力」について説明します。

文章構成力とは?

文章構成力は、論理的に情報を整理し、適切な順序で文章を構成する能力です。この能力は、文章の明確さや効果を決定する上で極めて重要です。国語力の集大成ではありますが、そもそもの文章自体について考えてみましょう。

まず、文章構成力が備わっていることは、情報を効果的に伝えるための基本条件です。情報が適切な順序で提示されていないと、読み手が内容を理解するのに混乱したり、重要なポイントが見落とされたりする可能性があります。文章構成力があれば、主題や論点を明確に提示し、読み手がスムーズに内容を理解できるように導くことができます。

次に、別の側面ですが、文章構成力は読者の興味を引きつける力にも関連しています。適切な構成で、文章全体の流れが自然で魅力的になり、読者が引き込まれる効果を持ちます。表現も加わりより魅力的な文章になるわけです。逆に、論理的でない構成や乱れた情報の配置は、読者の興味を損ない、文章の効果を弱める可能性があります。

上記2点から考えてほしいことは、文章自体が完璧な構成であるという前提ではあるが、入試問題としてその一部を読むこと。そして、入試の出題者の発問も文章に付随するものであること。それらを含めて、子どもが限られた時間に文章を読み、出題者の問いにできうる解答を作成することが重要です。

さらに、文章構成力は論理的思考力とも関連しています。情報を整理し、論理的なフローで展開させるためには、論理的思考が必要です。文章構成力を養うことで、論理的思考能力も向上し、問題解決能力や意思決定力の向上にもつながります。

文章構成力とは中学入試の読解力にどう影響するのか??

例文: 「夏休みに行った旅行は楽しかったです。海で泳いだり、美味しいご飯を食べたりしました。」

この例文は、幼い子が書いたのでしょうか。文章構成に改善の余地がありますし、こういう文が入試問題で出ることはまずないです。そもそもですが、この文の具体的な問題点は何でしょうか?

①要点の明確化


まず、要点を明確に伝えることが大切です。この文では「夏休みに行った旅行は楽しかった」という要点が含まれていますが、もう少し具体的に伝えるべきです。

②詳細の追加


どのような旅行だったのか、どの海で泳いだのか、どんな美味しいご飯を食べたのか、等の詳細が必要です。

修正文: 「夏休みに行った旅行は、沖縄でした。美しい海で泳いだり、地元の海鮮料理を食べました。特に、新鮮なマグロの刺身は絶品でした。」

この修正により、読者は具体的な場所や体験を想像しやすくなり、文章がより魅力的になります。修正前よりも、ちょっと学年が上がった文になりましたね。文章構成力を高めるためには、要点を明確にし、詳細を具体的に伝える習慣を身につけさせる必要があります。しかし、中学入試において出題される文章は質の高い文章がほとんどです。修正文以上のレベルの文章が出題されているのは当然ですが、実際に文章の一部を切り取っていることと、時間が限られていることもあり、子どもが読み込めていない=①のような読み取りで終わっていたとしてら、出題者の意図に沿った問題を読み解き正解を得ることはかなり難しいです。

たとえば、塾での解説授業を聞いて納得したとしても、実際に再現しにくい場合は「理解」についての訓練が必要です。(時間がたてばたつほど文章内容のレベルも上がっているので、なかなか成績が伸びない、いたちごっこのように感じるかもしれませんが、努力のコツは5つの力です。)

中学入試では、説明文や物語文を読解する際に、適切なアプローチを取ることが求められます。説明文では筆者の主張を理解し、物語文では登場人物の心情を把握することが重要です。また、「接続詞や言い換えの問題にも注意しましょう」と何世代にもわたり言い継がれていることですが、出題者の意図が理解できていることもポイントです。

文章構成力を向上させるためには、練習やフィードバックが重要です。中学入試においては、記述問題や作文がメインですが、定期的な文作(文や文章の作成)や修正を通じて、適切な構成の作り方や情報の整理方法を日々バージョンアップしていくこと。独力では難しいので、親、塾の先生等、第三者からのフィードバックを受け入れ、自身の文章を客観的に評価することも大切です。私は答え方を「型」とよんでいます。

まとめ

文章構成力は文章の理解や効果を決定する上で不可欠な能力です。適切な構成を用いることで、情報を効果的に伝え、読者の興味を引きつけることができます。そして、論理的思考力の向上にもつながり、国語だけでなく、幅広い分野での応用できます。そのためには日々の努力の積み重ねが重要です。5つの力は国語力を身に着ける個人的な分類ですが、入試問題を解くことにおいては補強する部分が明確になれば訓練度も自分自身の成長も感じることができます。

前回の記事はコチラ↓

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この記事を書いた人

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