「読書をたくさんしている子どもは中学入試において国語ができるのか」というややうがったタイトルです。読書量が多いことは入試問題を解くうえで有利ではありますが、絶対ではありません。国語力の向上には、単なる読書量の増加だけでなく、質の高い読書や理解力、表現力の習練が欠かせません。言い換えると、読書を通じた「理解と活用」が不可欠であり、読書の他に、効果的な学び(学習方法)が重要になります。
そもそも国語力とは?
国語力とは、日本語を理解し、正しく使いこなす能力のことです。具体的には以下に5つ挙げます。
1.読解力
文章を理解し、意味を把握する能力です。文章中の情報や意図を正確に理解することが重要です。
2.表現力
自分の考えや感情を言葉で表現する能力です。適切な言葉を選び、文法や表現方法を使いこなすことが求められます。
3.傾聴力
他人の話を理解する能力です。話し手の意図やメッセージを正しく受け取ることが重要です。
4.文法・語彙力
文法のルールや基本的な文節や単語の意味を理解し、正確に使いこなす能力です。正しい文法や適切な語彙を使って意思疎通することが必要です。
5.文章構成力
論理的に情報を整理し、文章を構成する能力です。論理的な思考力や文章のまとめ方が重要です。
今回は「1.読解力」についてレッスンの一部分として紹介します。
以下の問題を読んで問題に答えなさい。
昔々、ある村に、貧しい生活を営むAが住んでいました。Aは一生懸命働いても、なかなか生活が豊かになることができませんでした。ある日、Aは森の中で不思議なBに出会いました。BはAに言いました。「私は森の守り神だ。お前が一番望むものを一つだけ叶えよう。」Aは迷いましたが、最終的に金持ちになることを選びました。すると、瞬く間にAの身なりをはじめ、家に帰ると、家は豪華なものに変わり、彼は豊かな暮らしを手に入れることがました。しかし、豊かになったAは幸せを感じられず、貧しい頃の友情や家族の温かさが恋しくなりました。
問題:AはBから何を得ましたか?
この文章はAとBの簡単な物語を描いています。文章をよく読んで、AがBから一番望むものを「何」にしたかを探します。Bが「一番望むものを一つだけ叶えよう」と言ったとき、Aは迷いましたが最終的に「金持ちになること」を選びました。その結果、Aは「豊かな暮らし」を手に入れましたが、物語の結末では、金持ちになった農夫が「幸せを感じられず」、貧しい頃の「友情や家族の温かさ」が恋しくなったと描かれています。
解答:「金持ちになること。」
簡単ですが、深読みして「友情や家族の温かさ」と答える場合があります。そうです、主題を答えてしまう場合です。しっかりと理解できている子どもは、問われたことに対して論理的に答えることができるので、得たものを何に言い換えたかで迷うことがなくなります。「金持ちになることが得たもの」、「友情や家族の温かさは失ったもの」です。子どもがしっかりと問われていることに向き合っているかが大きなポイントです。国語ができる人の感覚やセンスの問題で片づけてしまう場合が多いですが、本当にそうでしょうか?個人的にはたくさんの生徒を指導したり、一緒に考えたりしてきましたが、感覚やセンスではないと思います。
大事な部分に線を引きながら読むことは大切です。問われていることについて理解しないと正解がずれます。問題作成者の問いを論理的に理解し、正解を答えられる力が読解力です。説明的文章や文学的文章はジャンルとして分けられているだけですので、子どもが文章を読みやすかったか読みにくかったかが重要です。これは国語だけでなく、どの教科でも同じことです。
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