社会問題から読み解く「かないくん」

本の紹介

前回は『STAR EGG 星の玉子さま』哲学や社会問題について話題にしました。今回のテーマは『死』。谷川俊太郎作、松本大洋絵、糸井重里の企画・監修。谷川俊太郎さんが一夜で綴った物語と、松本大洋さんが2年かけて描いた絵からなる絵本です。年齢を問わない絵本だなと思いました。

谷川俊太郎 (著), 松本大洋 (絵), 糸井重里 (企画)

目次

死に向き合っていないのが現代社会の問題か?

『かないくん』は、詩人谷川俊太郎と漫画家の(鉄コン筋クリートの作者)松本大洋がコラボレーションした絵本であることは先述しました。この作品は「死」という重いテーマを扱いながらも、子どもから大人まで幅広い読者に向けて、死生観を優しく、しかし力強く問いかけます。絵本のデザインは祖父江慎が担当し、特殊な印刷技術を用いた美しいビジュアルが特徴です。特に、全ての漢字にはひらがなのルビが振られており、読者が文字と挿絵から多層的なメッセージを受け取ることができるよう工夫されています。『かないくん』は、ただの絵本ではなく、生と死、そしてその狭間にある感情の機微を探求する旅へと読者をいざなう作品です。

あらすじ

この物語は、語り手が60年以上前に病死した隣席の同級生「かないくん」を思い出し、死というテーマを静かに考えるという内容です。絵本の中では、語り手が老人となり、かないくんが登場する絵本を描いている姿が描かれています。この物語は、絵本の中の話であると同時に、老人が実際に経験したことでもあります。生と死の始まりについてのメッセージを伝える作品です。

「いきてればみんなとともだちだけど、しぬとひとりぼっち。」

「かないくん」谷川俊太郎 (著), 松本大洋 (絵)

おじいちゃんからの問いかけが心に響く。「本当にそうなのだろうか?」「死んだら終わりなのだろうか?」「終わりってどういうことなのだろうか。」誰もが考え続けて生きるのだろう。人は死んでも、生きていた「証」は人の記憶に残る。死とは実は「何かの始まり」なのではないか。身近な人の死から始まるもの。「かないくん」の絵本の続きだろうか。哲学的な詩を感じさせた絵本。ラストの余韻とスキーをすべる女性の挿絵。すごい絵本だ。

もし読了していたら、コチラをご覧ください。→かないくんをつくった人たちの声を集めて

中学入試で問われるとしたら

【問題】 絵本『かないくん』において、語り手がかないくんを通じて伝えたかったメッセージは何だと思いますか。あなたの考えを150字以内で記述してください。

考え方として、この問題は、子どもが絵本のテーマをどのように理解しているかを評価するために役立ちます。

解答例: 語り手は、かないくんを通じて「生と死」についての深い理解を伝えたかったと思います。絵本は、死を悲しむだけでなく、それを受け入れ、人生の一部として価値を見出すことの大切さを示しています。また、過去の人とのつながりが、現在の自分を形作る重要な要素であることも教えてくれます。

※解答例はあくまで一例であり、生徒の個々の解釈によって異なる回答が期待されます。「生と死」、「過去と現在、未来」などの組み合わせで説明ができるようになると時間がかからないです。「生きることと死ぬこと」等書き方は変わってもよいので150字以内であれば120字以上150字以内で答えられれば素晴らしいです。限られた時間と文作スキルでどのように答案を書くかは訓練次第!

人生には、一つの正しい答えや終わりは存在しません。大切なのは、どのように物事を捉え、それを経験としてどう生かしていくかです。喜びも悲しみも、しっかりと受け入れて、自分自身で考え抜き、前進すること。そうやって、自分らしく生きていくことが、人生だと思います。私たちは、どんな瞬間も大切にしながら、自分自身を成長させていくことができるのです。そういう人生を送りたいと願っています。

前回の記事はコチラ↓

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この記事を書いた人

中学受験国語の1:1オンライン指導、ブログを運営しています。

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