絵本は何冊くらい読みましたか?ご自身の経験は?子どもの経験は?絵本にもたくさんの種類がありますが、読みやすく家族でも話し合ったりできる共通ツールとして有用です。ただし、親子の10分という言葉をご存じでしょうか?これは私の個人的な造語ですが、10分を生きてきた時間で比較しましょう。人生の中での10分の占有時間は40歳であれば1/210万、6歳であれば1/31.5万、12歳であれば1/63万となります。子どもが成長するにつれて、言語、感情等の経験を積み受け止め方や表現の仕方が変わってきます。今回は捨て犬問題についての絵本を紹介します。
ワンワンワン さかざきちはる 副題は「捨て犬たちの小さなおはなし」
あらすじ、感想
おはなしは3つあります。読んでいると切なくなったり温かくなったりしますが、世代や立場によって受け止め方がかわることもあるかもしれません。子ども、親、老夫婦それぞれの登場人物が「犬」とかかわってきます。
個人的に「ぼくは心まで透明になってしまったんだ」という犬の叫びは筆者の心と読者心とも重なるというところです。実家でのべ4匹の座敷犬と過ごし、しかも家族同然だった自分にとっては胸が詰まる思いで読みました。あとがきはまで読む習慣は大切ですね。
生きていて、あったかくて、喜んだり、甘えたり、寂しかったりする存在(それは全く人といっしょ)が、飽きたから、飼いきれなくなったから、増えすぎたから、売れ残ったから、という人間側の都合で、ごみのように「処分」されていることにショックを受けました。
WAVE出版 ワンワンワン さかざきちはる あとがきより
人間側の都合と処分の現実、犬の気持ち、そして新しい飼い主との出会いについて考えさせられる一冊です。
中学入試の視点
さて、視点を変え、入試問題作成者としてどのような問いをつくるでしょう。以下が理解できているかを問わせます。
1: 捨て犬問題の本質(人間側の都合と処分の現実)
捨て犬問題は、飼い主が犬を手放す主な理由が、しばしば人間の都合に基づいていることを示しています。飼い主が犬を飼うことに興味を持った際、かわいらしい面や楽しい面ばかりをイメージしがちですが、その責任や労力については考慮されることが少ないのが現状です。犬が成長するにつれて、飼い主が思い描いていた生活とのギャップが生じ、飼い主は手放すという選択をすることがあります。また、経済的な理由や住居環境の変化、健康問題なども捨て犬問題の背景にあります。捨て犬問題を解決するためには、飼い主が犬を飼う前に責任を持ち、犬との生活に対する十分な準備をすることが重要です。
2: 犬の気持ち(捨てられた孤独と不安)
捨て犬はしばしば孤独や不安を経験します。犬は群れで生活する動物であり、飼い主との絆を築き、安定した環境で暮らすことが必要です。しかし、捨て犬は突然の別れにより、愛情や安定を失い、新たな環境への適応に苦しむことがあります。特に幼い頃から飼われていた犬は、飼い主との絆が深く、捨てられた際には深い喪失感を味わうことになります。このような状況は犬の精神的な健康に影響を与え、行動問題やストレス関連の病気を引き起こす可能性があります。捨て犬問題を解決するには、飼い主の責任感と共に、捨てられた犬に対する保護や支援が必要です。
3: 新しい飼い主との出会い(希望と新たな始まり)
捨て犬が新しい飼い主との出会いを経験することは、希望に満ちた新たな始まりを意味します。新しい飼い主は捨て犬にとって安定した環境や愛情を提供し、捨て犬は新しい家族との絆を築くことができます。この出会いは、捨て犬が過去のトラウマを癒(いや)し、再び幸せな生活を送ることができる道を開くものです。飼い主による愛情と責任を持って、捨て犬は新しい家庭で安心して暮らすことができるようになります。捨て犬問題を解決するためには、新しい飼い主とのマッチングや適切な里親制度の整備が重要です。
上記は例ですが、読んだ時にどの点に感動したか、またはどう感じたかを子どもが自分のことばで話せるよう、そして、親はどう思ったか、自分が子どもの時だったら、と今の時点の違いも感想として子どもに伝えるといいです。
中学受験の一環として絵本を親子で楽しみながら読む方法は、子どもの興味や学習目標に合わせて適切な絵本を選ぶことが重要です。まず、子どもが興味を持ちそうなテーマやキャラクターを含む絵本を選びます。学齢が低い場合は読み聞かせると思いますが、その際には子どもに絵本の内容や登場人物について質問したり、感想を言わせたりすることで、理解度や想像力を育みます。また、難しい単語や概念が出てきた場合には、子どもに意味を尋ねたり、簡単な説明を加えたりして理解を深めます。さらに、絵本のストーリーやメッセージを通じて、道徳や倫理、人間関係などについての共感や議論を促すことも大切です。親子で共有することで、絵本から得られる知識や価値観をより深く理解し、子どもの成長に寄与することができます。
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