文作の型をどう身に着けるか

子どもが文作の型を身に着けることは、言語能力の発達やコミュニケーション能力を向上させる上で重要です。文作の型を身に着けることで、子どもはより効果的なコミュニケーションをするための基礎を築くことができます。保護者の皆様がお子様が文作の型を身に着けるためのサポートをすることは、その基盤を築く上で不可欠です。この記事では、子どもが文作の型を身に着けるための方法について、具体的なアプローチを3つの見出しとともに解説いたします。作文ではなく私はあえて文作としています。

目次

【1.モデル文の活用】

子どもが文作の型を身に着ける上で効果的な方法の一つは、モデル文の活用です。モデル文は、子どもが真似をすることで文の構造や表現方法を理解し、身に付けることができます。保護者は、子どもに適したレベルのモデル文を提供し、一緒に読みながらその構造や表現方法を理解するようサポートすることが重要です。例えば、お子様が書きたい内容に関連する絵本や短編小説を選んで一緒に読み、その中から良い文の例を見つけ出し、その構造や表現方法を共に考えることが有効です。

【例文1】 タイトル: おばけの家(物語・小説)

ある日、たけしとゆうすけは森の中を歩いていました。すると、不思議な家を見つけました。その家は古びた木造の家で、窓ガラスはぼろぼろでした。たけしは「こわいね、この家」と言いましたが、ゆうすけは好奇心いっぱいで中を覗いてみました。中にはほこりっぽい机やいにしえの絵がかかった壁がありました。すると、一階の方から不気味な音が聞こえてきました。「きゃー、おばけかもしれない」とびっくりしたゆうすけは急いでたけしと一緒に家を出ました。それ以来、二人はあの家には二度と近づかないことにしました。

解説 いつ・どこで・だれが・どうしたという基本がはいっていること。その時の情景、心情とその変化、事件の変遷等読み手にわかりやすい感じでかけているかがポイントです。主題は何かを質問するといいです。

【例文2】 タイトル: わたしの夢

私は将来、医者になりたいです。なぜなら、たくさんの人の命を救うことができるからです。毎日、病院で働く医者たちを見ていると、彼らの優しさや努力に感動します。私も彼らのようになりたいです。そのためには、まずは勉強を頑張って医学校に入らなければなりません。そして、たくさんの知識と経験を積んで、患者さんたちの役に立つ医者になりたいです。私の夢は大きいですが、一歩ずつ前進していけば叶えることができると信じています。

解説 誰もが書いたことのある一般的な文作です。結論、理由、体験談とその時の心情、まとめと流れています。毛英語をつけるかどうかはここでは問題ありません。しっかりと文作をするということが大事です。

学習塾では主に【例文2】の対策がほとんどでしょう。【例文1】についてはそのままで中学入試にはほとんど出題されませんが、場面描写、また、心情や主題等を問われることと、原稿用紙で換算すると大問1で10枚前後の文章が多いため、どこにあったか迷子になる子どもが続出します。読み返しをすると時間のロスになり、あいらめると離脱してしまいます。特に、トップクラスの学校ですと10000文字の長文を小学6年生が読んで書くこともありますし、45分しかない中で記述問題中心に出題される中学校もあります。【例文1】を工夫してとりあげている先生は日本で数名だと思います。

【2.フレーム文の活用】 フレーム文は、文の構造や表現方法を示す枠組みを提供することで、子どもが自らの文を構築する際の支援となります。保護者は、お子様に対してフレーム文を活用した文作の練習を促すことで、自信を持って文章を書くことができるよう支援することができます。例えば、特定のトピックやテーマに関するフレーム文を用意し、お子様にそれを元に自分なりの文を書いてみるよう促すことで、文作の型を身に着ける手助けをすることができます。

【フレーム文の例1】 タイトル: ぼくの好きな動物

(挨拶) こんにちは、わたしの名前は______です。今日は、ぼくの好きな動物について書きたいと思います。(好きな動物の紹介) ぼくの好きな動物は______です。______は______です。ぼくはその______についてとても興味があります。

(特徴の説明) ______は______です。それに、______という特徴があります。______の______は______で、______が______です。

(体験やエピソードの追加) ぼくは一度、______を見に______に行ったことがあります。そこでは______が______しているのを見ることができました。それはとても______でした。

(結び) ぼくの好きな動物______は、いろいろな面で興味深い動物です。これからもっと______について学んで、大切にしていきたいと思います。

【フレーム文の例2】 タイトル: ぼくの夏休みの思い出

(挨拶) こんにちは、わたしは______です。今日は、夏休みの思い出について書きたいと思います。

(夏休みの場所や活動の紹介) ぼくの夏休みは______で過ごしました。そこでは______がたくさんあり、ぼくは______をしました。

(楽しかった体験や思い出のエピソード) ある日、ぼくは友達と一緒に______へ行きました。そこでは______をすることができ、とても楽しかったです。また、______を見たり、______をしたりして、夏休みを満喫しました。

(感想や思い) 夏休みはとても楽しかったです。友達と一緒に過ごした時間は______でした。これからも夏休みには______をたくさん作って、楽しい思い出をたくさんつくりたいと思います。

(結び) ぼくの夏休みの思い出は、ずっと心に残るものになりました。これからも楽しい夏休みを過ごすために、新しい冒険を楽しみにしています。

先ほどと同じになりますが、フレームについてはある程度練習する必要があります。穴埋めになってしまうため、有効に使いこなせている子どもはあまりいないように感じます。いくつかポイントがありますが、今回は一つだけ。伝えたいことがブランクになっており、そこをしっかりと自分のことばで理解し書き込めることが重要です。

【3.積極的なフィードバックの提供】 子どもが文作の型を身に着ける上で、積極的なフィードバックは非常に重要です。保護者は、お子様が書いた文を丁寧に読み、良い点や改善点についてフィードバックを提供することで、子どもの成長を支援することができます。また、フィードバックを通じて子どもとコミュニケーションを深めることで、子どもが文作の過程を楽しむことができるよう助けることもできます。保護者は、子どもの成長過程を楽しんで見守りながら、積極的にサポートすることが重要です。注意点として、誤字脱字を、意味が通らないからと減点しすぎないことです。傷口を塩でぬるだけで、子どもが時間内に書きにくくなります。正論を真正面からぶつけて受け止められる忍耐が子どもにあれば別ですが、私なら、まずは〇をつけます。そのうえで細かい部分は軽くアドバイスをします。このやりとりが先生と生徒が一緒に問題を解いき、子どもが自信をつけていく好循環を築くのです。(親子だと喧嘩になるのは当然ですので自然のこととし、学齢が上がるごとに第三者に直してもらうことをお勧めします。)

以上の3つの方法を活用することで、子どもが文作の型を身に着けるプロセスを効果的にサポートすることができます。保護者の皆様は、子どもの興味や能力に合わせて柔軟にアプローチを変えながら、子どもの文作能力の発展を支援していくことが大切です。

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